不動産の業界で利用されているものであるが、売買契約締結に至る準備段階において作成・交付されるもの
買付証明書とは、不動産の業界で利用されているものであるが、売買契約締結に至る準備段階において作成・交付されるものである。
売主の売買仲介業者にあっては、買主からの買付証明書(取り纏め依頼書ともいう。)を売主へ提示して、買主からの買受の事実(価格や条件等)を説明し、納得したら売渡承諾書を添付するなどして買主へ報告し、売買契約締結へと進められていく過程の際に利用されている書面である。
また、これらの書面の意図は、契約締結まで他の業者を排して交渉を進めてほしいとする売止めの意思と、契約締結まで誠意をもって誠実に交渉を行なう意思の表明の範囲内の事実を証明するものでもある。
従って、当事者を法的に売ります・買いますとする意思の合致で売買契約が成立する物権変動が生じたものではないと解されている。(東京地裁S63.2.29判決)