自然債務とは最小限度の効力しかない債権のことを意味する内容のことである。
一般の債権債務の様に債務者がその債務を約束どおりに守らない時は、裁判所に訴えて判決を得て強制執行して弁済等の満足を得る訳だが、「自然債務」は前述の様に強制的な執行が許されず、債務者が任意に履行する場合のみ債権が受領することができる。という効力のことを言う。
例1
学校法人の理事長が勝手に(理事会の決議を経ないで)学校運営費に個人の資金を右のポケットから左のポケットへ移し代えて貸付て置いて、後日理事長が学校法人へ貸付金の返還を求める様なケースが「自然債務」に該当する。
例2
破産して免責を受けても「自然債務」が残る。判例、通説である自然債務説に基づくと、自己破産し免責されても破産者の方は自然債務という債務を負担していることになりますが、債権者が裁判に訴えることも強制執行債務者が自ら進んで債務を弁済すれば有効な弁済となり不当利得の問題とはならない。