隣地利用権の一種で、その通行権は一般公益上の観点から認められたものである
1.囲繞地通行権とは①他人の土地に囲まれた所に土地(袋地)を所有していたり、又は②池、沼、河川、海などに囲まれていて(準袋地)舟などを使用しなければ他に通行することができない土地③あるいはたとえ公路と接していたとした土地であってもその土地と公路とが崖などの高低差が著しい地形の所有者は、公路に至るために他人が所有する土地を公路に通じるため通行(利用)することができる権利である。(民法第210条)隣地利用権の一種で、その通行権は一般公益上の観点から認められたものである。
2.他方、社会の変化によって単に通行(人、馬車、自転車、農業用機械)のみならず、その土地の公益性や社会的要請に基づいて利用(病院、老人ホームなど)としての建築基準法上の道路幅員6m以上の用件を満たす必要がある場合などや、既存の通行幅員を拡張する場合等にももう少し広く解釈が求められるべきではないだろうか(私見)
3.袋地所有者は公路へ通じるために他人(囲繞地所有者)の土地を通行する権利があると言っても、その通行の場所、範囲、方法は、囲繞地所有者の損害が最も少ないところを選ばなければならない。(民法第211条)
また通行権者は、通行地の所有者に対し、かかる負担金(償金)を支払わなければならない。
4.しかし、前記の様に「袋地」「準袋地」であったとしても、そのことが、ある一定の土地を分割し、または一部売買したことが囲繞地の原因となった場合は、その「袋地」「準袋地」所有者は、他の一方の土地を償金を支払うことなくして通行権がある。(民法第213条)
5.不動産の実務においてこの様な「袋地」「準袋地」所有者が、例えば都市計画法上市街化区域内にあった土地に建物を建築しようとしても建築基準法上接道要件が満たされるか?満たされるとしても公路に通じる他人の土地の利用権の有無によって利用が困難なケースが多い。一般的には建築確認が得られなかったり、金融機関の融資(住宅ローン)の対象外となってしまうケースが多い。