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2024年5月号 | レポート

<世界の先進国の中で多い日本人の自殺者の解消に向けて>

Ⅰ【 世界の先進国の中で多い日本人の自殺者の解消に向けて 】

日本人の自殺者数は、2003年の34,427人から2022年は21,881人と減少傾向にありますが、前年2021年と比べると、874人の増加となっている。
その中でも、①50歳~59歳が多く、次いで②40歳~49歳、③60歳~69歳、④70歳~79歳、⑤30歳~39歳、⑥20歳~29歳の順との統計が、2023.3.14厚生労働省より示されている。

その原因の多くは、多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きている。
主たる例としては、経済、生活上の問題や家庭問題等が深刻化する中で、これらと連鎖してうつ病等の健康問題が生じている(2023.3.14 厚生労働省出典資料参照)。ほぼ全国的な傾向と見える。
G7各国の世界保健機関のデーターによれば、7ヵ国の中でトップとなっている。
特に日本の若者に関しては、夢や希望が持てない等、メンタル面の弱さや不平等による格差が広がっていて、その要因の一つと考えられる若者への投資として、教育等への環境改善が指摘されて来ている。
例えば、学問の分野では、小学校3,4年生の先生の給料を大学教授並みの待遇とし、生徒へ学ぶことの意味を余裕をもって教えることが可能となり、その環境を提供することで将来への人づくりに大きな心身形成に寄与することとなります。そして、このことで個々人の収入や財産の形成へと進み、人間社会の構成員の階層化の解消の一助となる。又、子供達の居場所の確保の問題への対応も必須でしょう。
さらには、個々の生き方への指針として、社会全体の識字率向上とともに、日本人に必須な課題は、メンタル面を摩擦に耐え得るために学ぶことが大切と思っている。

Ⅱ【 より良く生きるための金言としての「ロゴセラピー」】

ヴィクトール・E・フランクル(1905-1997、オーストリア)が1969年に来日された時の日本の状況は、さまざまな困難に見舞われている今日の日本の現況とある意味で酷似しています。実際、戦後の時と今日の人々を比較しても、「生きる意味」を見つけにくくなっているという点で、今日、日本国内でフランクル哲学が日本でも再評価され始めました。悩める現代人の胸に新鮮な感覚が呼び起こされることとなるかも知れません。
人生に於いて、挫折、神経症、幸福、薬物問題、ギャンブル依存、教育の問題、人間としての価値、生きる意味等、多くの現代人を悩ませている課題の処方箋を見出せないで居る人も、フランクルの哲学にそのヒントが含まれています。
私も長年にわたって「仙台いのちの電話
※注釈1」にかかわって来ており、この課題解決の一助にと思い、稚拙な文章ではありますが記させていただきます。

精神論(「ロゴセラピー※注釈2」フランクル)の代表としての考え方があります。
カウンセリングや心理療法といえば「精神分析」や「認知行動療法」というワードを思いつく方も多いのではないでしょうか。今回は、フランクルという精神科医が提唱したロゴセラピーという心理療法を考えて見たいと思います。
教育、働き方等の制度改革が進んでないとする背景も指摘されてからも相当長きにわたっている。
そこで、気付いてほしいことがある。他者に期待しないで生きて行ける術がある。

<フランクルの悟り>
フランクルは結局のところ、「生きる意味が何であるか」を問うのではなく、「生きることから問われていること」に目を向けるべきという考えに至りました。
わたしたちが生きることからなにを期待するのではなく、むしろひたすら生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題なのだと分かり絶望している人間に伝えなければならない、そしてわたしたち自身の問いの前に立っていることを思い知るべきなのだ!!

このように周囲の環境によらず、人間は自分の意思で自らの生き方を主体的に決めることができるという前提に立っているフランクル心理学は、実存心理学と呼ばれている。(引用 前出者(2002)「夜と霧 新版」)

 

<注釈1>
「仙台いのちの電話」は、365日 24時間 さまざまな悩みの相談電話、メール対応を行っております。
いのちの電話の相談員は無報酬で、個人、企業、団体からの寄付で運営しております。相談員は以前は360名位でしたが、今はその半分の人員です。1人約30分の時間割ですが、なかなかそうはいかない深刻な相談内容もあり、他の電話が繋がらないこともあり、多くは3月、5月、年末となっています。相談の内容は守秘義務があります。

            記

   「時を貫くいのちの電話 去年今年」  雪雄

2024年1月、東京 実の会で特選に選ばれました。
元々新年の句会には重すぎるかと思って投句をしましたが、多くの人が能登半島の地震にも見舞われた背景もあってか、推挙の一句となりました。

<注釈2>
ロゴセラピーとは、人が自らの「生の意味」を見出すことを援助することで心の病を癒す心理療法のことです。創始者(提唱者)は、神経科医で心理学者のオーストリアのユダヤ人、ヴィクトール・E・フランクルです。
「ロゴ」はギリシア語で「意味」の意です。
「セラピー」とは、手術や薬を使わない物理療法や心理療法のことを指します。「ロゴセラピーは意味による癒し」と直訳されます。
セラピーを行う人をセラピスト(療法士)と言います。
心理療法=実存分析とも呼ばれるロゴセラピーでは「人生の意味」を見つけることで、精神障害が引き起こす苦境や社会不適応を乗り越えることを目的とする。

以上

更新情報

更新日:2024.11.01
更新日:2024.10.01
更新日:2024.09.02
更新日:2024.08.01
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