<改正空家対策特別措置法が施行>
Ⅰ【 改正空家対策特別措置法が施行 】
(1)日本全国に849万戸あるという空家(総務省2018年 住宅・土地統計調査)。
空き家問題は、今やとても身近なものになっている。2023年12月13日に施行された改正空家対策措置法(改正空家法)は、危険な空き家を生まないための管理の確保と、空き家活用促進を大きなテーマにしている。((株)不動産経済研究所 出典引用)
(2)これまで、対策を要する空き家として空家法を定義していたのは、そのままだと倒壊して周囲に大きな悪影響を及ぼす「特定空家」だけだったが、改正空家法は、管理が不十分で放っておくと特定空家になるおそれがある空き家を「管理不全空家」と新たに定義された。
市区町村長から管理不全空家として勧告を受けると、その空き家は固定資産税の住宅用地特例 最大6分の1減額が適用できなくなる。
なお、固定資産税課税の基準日は令和6年1月1日となっています。
(3)郊外に多い空き家住宅は、少子高齢化の波が直接影響を及ぼしており、即ち人口減少に伴って地域社会に於ける活力が低下し、生活環境(ガソリンスタンド・学校の閉鎖、交通・医療、金融などの機関の不足や日常の買い物店など)の減少によって複合的な要因も加わって加速して来ている。
Ⅱ【 空家対策としての[空家等活用促進区域] 】
中心市街地について、地域の拠点となるエリアに空き家が沢山あると、地域全体の魅力や機能が損なわれてしまう。そこで、今回の「空家等活用促進区域」の制度を創設した。
市区町村が具体的な区域を設定し、活用指針を定めることができる。
活用指針には、接道規制や用途規制を緩和する特例を設けることができる。
この特例により、敷地が幅4m以上の道路に2m以上接していなくても建て替えや改築がしやすくなる。
その結果、第一種低層住居専用地域に空き家を再生したサロンなどを活用するといった事例も可能となるでしょう。
弊社は、空き家相談窓口となり売買並びに管理と活用に取り組んで来ましたが、今後は市区町村長が「空家等管理活用支援法人」に指定する制度も創設されましたので、早速その旨の手続きに登録を申し込みました。
「支援法人」は、市区町村から空き家の所有者情報の提供(行政は所有者の同意を得ることがその前提となる。)を受けて、所有者と活用希望者に情報提供を行い、両者のマッチングや所有者からの委託により管理も実施する。
これまでは、空き家の売買依頼が多くなっていました。この場合でも近隣及び町内会長へ事前に挨拶を行って来ていました。そうでないと、空き家住宅に「不審者がうろついている」等として、要らざるトラブルを招くおそれがありました。
今後「支援法人」として、月1回巡回しての換気、雑草などの課題(シルバーセンターへの依頼)が主なる業務となります。弊社社員には巡回中の腕章、玄関への掲示(看板や旗など)で、この様な課題に「賃貸不動産経営管理士」、「宅地建物取引業者」としてのこれまでに培ってきた専門的知見を有する者として、一助になればと思って取り組んで行きたい。
Ⅲ【 高齢者への賃貸は行政と連携しての対応課題 】
(1)高齢者というだけで賃貸契約を断られ、住まいの見つからない「漂流老人」が増えている。
貸さない不動産業者及び大家が悪いと言わんばかりですが、民間の家主だけにこの様な対応を、リスクを負わせて良いのだろうか?
(2)業者として、高齢者78歳の男性に賃貸マンションを仲介して貸したケースでは、コンビニのビニール袋や空き缶等で足の踏み場もなくゴミ屋敷となっていて、且つ認知症兼被害妄想となってしまい、夜中に物や金、サイフが無くなったと警察へ連絡して、警察から不動産管理会社へ連絡が来たりしてしまう。
(3)10月に3~5回と増加して来て、警察も「またか?」という状況が続いて約10ヵ月位経ってから法定相続人(連絡先の方)に連絡する等した。
(4)別の高齢者の方のケースでは、建物内のコンセント、照明器具が全部ドライバー等で外したりした。
これはさすがに危険と判断し電気屋さんに直してもらったが、数日すると同様の繰り返しが半年ほど続いた。
(5)家賃の不払いも同様に発生し、これまた連帯保証人への説明する等の対応に追われ、連帯保証人さんも迷惑を絶対掛けないとの言質の基に、保証人のハンコを押したが、今は年金生活なので支払うことができないとなった。
(6)税理士さんは、未払家賃は裁判所の判決をもらって強制執行しても、弁済が無かった時には未収金でも申告が可能ですが、そうでない時は入金される前提で収入計上し税金を払ってもらうこととなります、とのことで、現実に入金ならないが税金を納めさせる仕組みとなっている。
(7)この様に、高齢者に賃貸をして来たが、仲介したという事実のみで様々なトラブルに対応しなければならない様だ。
(8)この様な課題を解決するためには、国・県・市町村の行政が率先しての対応をしていただけないことには民間での賃貸事業が危うくなってしまう可能性が高い。
以上