<プロパンガス料金の適正化>
Ⅰ【 プロパンガス料金の適正化 】
1.賃貸住宅向けプロパンガス(以下LPガスという。)料金が室内のエアコンや給湯器などの賃貸人所有の設備代を上乗せして賃借人(消費者)に請求しているLPガス販売事業者らにに対し、禁止する方針(案)を経済産業省が有識者会議に諮る方針であることが公表されました。
2.経済産業省は、従来から業界で慣習となっているLPガス代への上乗せ請求(内訳含む)が適正かどうかがわかりづらいと賃借人(消費者)からの指摘が出ており、料金を計上できる設備費を明確にする。来春までに関係省令を改正し、2027年度の施行を目指す、とのことです。
3.設備費の料金にエアコンや給湯器、インターホンなどLPガス消費とは無関係な設備費の計上は禁止する。家賃収入で負担すべきものとした。
4.業界内の多くで、LPガス会社が顧客獲得のため、特に賃貸集合住宅の給湯器などのガス関連設備の他、エアコン、インターホンなどを無償で設置し、賃借人(消費者)に対しLPガス料金に上乗せして回収する商慣行が存在して来た。
その結果、LPガス料金が都市ガスよりも高くなることに帰し、全国の消費生活センターなどにLPガス料金に関する苦情、相談が毎年2千件程度寄せられている。
5.ところで、弊社((株)杜リゾート)所有の賃貸住宅(マンション3棟)のうち、1棟は都市ガス、2棟がLPガスとなっている。弊社は従来からエアコンや給湯器等の設備費負担をLPガス会社に求めたことは一度たりともありません。かかる設備費は賃貸人たる弊社に於いて全額負担して来ております。
6.法律の世界に身を置いて来た弊社代表は、エアコンや給湯器等の設備は建物所有者に常に帰属するものであるから、当然の事でしょう。確かに前述のLPガス業界の慣習は熟知していたが、今般(7月24日付)経済産業省が発表した様に、LPガス料金の透明化が求められた場合の企業理念と社会性に反すると思料して経営を遂行して来ましたので、今回のこの様なニュースに接した時、当然なことと受け止めました。
7.この様に、問題となっている背景は、主に賃貸集合住宅を建築する際に建築主の初期にかかる建築費用を抑えて金融機関へ提供する事業計画の収支バランスが良く見える様にするケースもあります。
従って、昔から建築敷地内に都市ガス管の設備が敷設されているところでも、敢えてLPガスを設置する様です。
8.以上、さまざまなこれまでの商慣習としての経緯がありますが、早急なるLPガス業界や賃貸共同住宅の建設会社、オーナー、そして不動産賃貸管理会社の適正化が求められることとなっています。
Ⅱ【 日本の政治は「官僚政治」だと長きに渡り言われて来たゆえん。 】
1.国会の某予算委員会で野党議員が財務大臣に対し、「子ども手当の『乗数効果』はいくらか?」と質問したところ、当の財務大臣は答弁に窮する場面が生じました。
2.「乗数効果」は高校生が学ぶべき初歩的な経済理論であります。
3.2022年~2023年版の高校生用の「用語集 現代社会+政治・経済」(清水書院)を引用すれば、投資支出の一単位の増加から波及して、乗数倍だけ国民所得が増加することを説明する理論です。
このプロセスのことを「乗数効果」といい、この理論のことを「乗数理論」と呼ぶ。
4.即ち、乗数効果とは、政府の支出(子ども手当)や民間の投資などの一部の支出が経済全体に与えている影響が、その直接の支出だけでなく、それが再循環することでさらなる経済活動を引き起こすことをいう考え方です。
5.例えば、国民所得がある水準のとき、投資支出が1兆円増えたとすると、その1兆円は必ずどこかで誰かの所得となり、貯蓄や消費に回される。ここで1兆円のうち80%が消費されるとすれば、今度は0.8兆円が次の誰かの所得となり、さらに同じく80%が消費に回されれば、0.64兆円が誰かの所得となる。この循環が円滑に繰り返されれば最終的に5兆円分(※図1)国民所得が倍加する、とする経済活動を引き起こすという考え方です。
6.けだし、所得が一単位増えた時、そのうちどれだけ支出するかをCとすれば、1/(1-C)=5兆円を最初の投資支出増加分に掛けた額だけ国民所得が増加する。この時、1/(1-C)を乗数と呼ぶ。
7.政治家のみならず、大人でも高校で教わる国語、数学、英語、理科、社会のすべての分野の知識を正確に覚えている人は、その道の現役ないし専門家でない限り現実には求める方に無理があると言っても過言ではありません。
8.特に、国会での様々な質問事項は事前届出対象でしょうから、主務大臣も予習して答弁に臨んで欲しい。そうでないと官僚から「政治家なんて結局俺たち抜きでは国会答弁や運営に支障が生じる。」となり、軍門に下ることとなります。
9.従って、官僚政治と言われていても官僚が隅々まで知り尽くしてはいないので、大臣が質問に答えられない(基礎的な事柄や重要な事項を除き)と、大臣の後ろの事務次官や局長を振り向いて資料や助言を求めている姿がテレビ等で映し出されます。質問者の質問事項や答弁をする大臣にも自身の心懐を以って、国民に分かりやすい言葉で国民側に立っての平明でかつ建設的な意見の論争が望まれる。
以上
※図1(乗数効果とは)