平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
誠に勝手ではこざいますが、当社の年末年始休業を下記の通りとさせていただきますので、ご案内申し上げます。何卒ご理解頂きますようお願い申し上げます。
ご迷惑をお掛け致しますが、宜しくお願い致します。
※1月6日(月)より通常営業の予定です。
<金融ジェロントロジーについて>
Ⅰ【 金融ジェロントロジーについて ※1 】
1.早いものでもう6月を迎えました。一年の中間点に位置しています。この中間点、即ち50%をどの様に捉えていますでしょうか?ポジティブな人はあと50%(半年)もあるじゃないか!!頑張って行こうと考えるそうですが・・・。
2.今や人生100年の時代と言われて、日本は超高齢化社会の中で日本人の生命寿命の伸長に伴って大きな課題が様々な形で生じている。
3.その中でも日本経済の根幹をなしているのが「認知症 ※1」の病気が金融や不動産に影響を分析する学問分野が「金融ジェロントロジー ※2」であり、ここ数年前から聞き及ぶこととなっている。
4.日本の民間シンクタンクも2001年から日本経済に及ぼす影響などの研究に取り組んで来ている。
その内容は、加齢の増加とともにその個人の持つ様々な資産の管理が不十分で問題が生じていないか?具体的には金融資産や不動産がそのまま放棄されたり、先送りとなって、金融資産が詐欺などの被害に遭ったりしないか、建物が空家の予備軍の恐れ等の可能性が生じていないか?等々です。
5.不動産に携わっていて顕著な問題は、賃貸アパートが5名の高齢者での共有であります。
具体的例では、共有者5人のうち2人が認知症で施設に入所しているも、成年被後見人制度上の家庭裁判所(以下 家裁という。)の審判を受けていない人で、あとの3人とは合意形成が出来るがいずれも課題を解決出来ない状況で、賃貸契約の締結、リフォーム、設備の更新などが出来ず空室のままとなり、本来の賃貸事業が先細りとなっている。
6.成年被後見人とは、家裁の審判を得た人で、家裁の監督の下で家裁より選任された成年後見人(法定代理人)が成年被後見人の財産管理を行う。日々の生活に必要な範囲を超えての資産の取引は家裁の許可が必要とされ、新たな賃借人募集を前提とするリフォームなどの支出には原則として支出が厳しい。法律の制度設計上、「成年被後見人の財産を減らさない」ことが法律の趣旨のため、動くことが出来なく、これまた「氷漬」となってしまっている。
7.いま、金融業界や不動産業界において重要性に直面している課題として、認知機能が衰えたと考えられる人々とのコミュニケーション=意思疎通は切実な問題である。加齢に伴って生じる認知機能が徐々に失われてゆく難治性の神経変性疾患と言われる認知症は、日本国内で広く認知され社会的な問題として捉えられ、大きな節目となったのは、1999年に日本の大手製薬会社エーザイが開発した治療薬レカネマブの上市により、国民の意識は変わり、正しい知識も広がりました。
8.さらに翌年2000年に介護保険が出来ました。
9.今の段階では、医学の視点からの病気の治癒、とりわけ精神疾患に重点を置かれての認知症(特に多いのがアルツハイマー型認知症)が研究の重要なテーマとなっている。
※1 「認知症」とは、さまざまな原因で脳細胞の働きが悪くなる結果、記憶力や判断能力などに障害が生じ、その進行に伴って日常生活や社会生活までもが自立できなくなる病気。認知症には種類や進行速度などによっても異なるが、もっとも多いのがアルツハイマー型認知症と結果発表されている。
(とよだクリニック院長 豊田早苗氏文引用)
※2 「金融ジェロントロジー」とは、「ファイナンシャル・ジェロントロジー」と研究分野で呼ばれている。ジェロントロジーとは「老年学」の意で、人体や細胞の老化現象医学のことで、それに金融「ファイナンシャル」の造語で「金融老年学」と呼んでいる。
内閣府によると、認知症患者は2030年には800万人となり、金融資産は180兆円規模と予想されている。金融資産以外にも、不動産(土地・建物)、介護、年金、医療、移動時の交通、社会保障制度に関わる知識と情報を得たり活用するなどをして、健康で理想の生き方や老い方なども含まれる。
(内閣府より一部引用)
Ⅱ【 提 言 】
1.加齢により正常な弁識能力が低下し、意思決定が困難となる症状は医学の視点からの研究が相当課題として整理されて来て、認知症の症状を抑えたり改善させる薬などの発表が2023年6月に米国FDAより迅速承認を取得した旨のニュースに接し、患者さんにとって朗報となった。
2.一方、成年被後見人制度の課題は、時代に合う法律の仕組みの改正が急務であります。
この法律は、成年被後見人の財産等を「減らさない」とする仕組みであり、且つ家裁の許可をその都度得なければ動けないため、使い勝手が悪く、この制度の利用者は4%位と少ない。是非、法律学者や政治家の方のみではなく、不動産の実務を生業としている実務者にも参画をしていただいての、真に成年被後見人制度の健全な目的に向けての法改正が望まれます。
Ⅲ【 今年4月に以下のとおりの民法の改正が行われた 】
1.不動産を様々な理由により共有名義にするケースが未だ散見されます。
その結果、修繕や管理方法、売買などで共有者間の意見が対立したり、訴訟へと想定外のトラブルに発展していることが多いことも事実です。
この様な背景もあって、今年4月には改正民法が施行されました。
共有制度がどの様に変わったのか、その改正点について確認します。
2.改正の一つ目
共有不動産の軽微な変更は、管理扱いで実施しやすくなった。
以前(改正前)は、たとえ軽微な変更であっても共有者全員の同意が必要でした。
改正後、共有不動産の形状(外観・構造)又は効用(機能・用途)の著しい変更を伴わない軽微な変更については、共有者の持ち分の過半数の同意で実施できる管理行為と同じ扱いとなりました。
例としては、砂利道をアスファルト舗装や建物の外壁修繕、屋上防水等の行為です。
3.改正の二つ目
(1)全員の同意が取れなくても「権利」や「変更」が出来る方向が示された。
共有者の中に①行方の分からない者、②自分の財産に無関心な者(賛否を明らかにしない者)がいるため、「変更」や「管理」の実現が出来ないケースへの対策も講じられました。
まず「変更行為」の場合で共有者の所在不明者のケースで、共有物の売却等を行う場合には、その者の持ち分権に相当する金銭額を供託することが必要です。
(2)「管理行為」については、裁判所の決定を得ることで「回答しない共有者以外の共有者の持ち分の過半数の同意で実施できる」こととなりました。
共有持ちの土地・建物の所在地の地方裁判所に申し立てを行うと、1ヶ月以上の賛否明示、異議届出期間が設けられたうえで決定が下され、連絡の取れる共有者の過半数の同意で実施できることとなりました。
なお、上記「変更行為」の手続きは、「管理行為」と同じです。
以上