<迷惑動画拡散者へ刑法適用か?>
Ⅰ【 最高裁判所第2小法廷は遡及効を判示 】
1.2023年1月31日の河北新報の記事の中で、近時の身勝手な風潮に対し、一矢を放つ判例が掲載されてあった。
それは、インターネット上に匿名で投稿された「誹謗中傷※1情報」に対する情報の開示が2020年に施行された。一般的な法律は、施行後から適用することを原則とする法規範である。
(但し、例外としては税金等を軽減する様な場合で国民にとって利益となる場合は、遡及して適用されている。)
今回、2023年1月30日に最高裁判所第2小法廷で判示されたのは、中傷の発信元の電話番号を開示するとした2020年の施行前の投稿にも適用できるか否かが争われた訴訟2件の上告審で適用できると初判断を示したことの意義は大きい。
Ⅱ【 迷惑動画拡散者へ刑法適用か? 】
最近のYouTubeでの「くら寿司」や「スシロー」での迷惑動画※2がインターネット上で不適切動画として投稿されていることも同様に、情報網の利用の悪用である。
被害に遭った寿司店によると、今回発覚した動画は4年前に撮影されたというが、過去にさかのぼって被害届が出されている。
この様に、インターネットの活用方法がインターネットの本来の目的や用途に反して悪い事に利用されている。
現代の情報化社会に於いての利用者への啓蒙活動と哲学教育が必要でありましょう。
Ⅲ【 インターネットの活用方法に一考教示 】
前記Ⅰ・Ⅱの事案の共通点は、当人の教育・人間性・品格が疑われる他、匿名で「誹謗中傷」や「迷惑動画」をインターネット上に拡散した者は、心の中の大事なものを失った筈であり、その者の将来が心配でもある。
※1 誹謗中傷とは、「誹謗」-他人(又は会社)を悪く言うこと。「中傷」-根拠のないことを言いふらして、他人(又は会社)の名誉を傷つけること。「言葉の暴力」とも呼ばれています。
①「刑法上の罪」・・・名誉棄損の可能性があります。
名誉棄損とは、公の場(SNSなどで)具体的な事実を示して誰かの名誉を傷つけたり、社会的地位を低下させたりすること。
刑法第230条=3年以下の懲役若しくは禁固又は50万円以下の罰金が課せられます。
②刑法上、50万円以下の罰金と言うと名誉を傷つけられた一方の被害者から見ると少ないと感じられる。
③しかし、民法第709条(損害賠償)によって、加害者の「故意または過失」による被害者の損害(財産的損害と精神的損害との間の相当的因果関係)を立証することが出来れば、刑法上の50万円にかかわらず損害賠償を求めることが可能です。
④従って、「誹謗中傷」を発信(SNSなどで)した者は、自身の社会的信用失墜の他、損害賠償の責めを負うこととなります。
「刑法上の罪及び民法上の損害賠償責任」
※2 迷惑動画のケースは、加害者は威力業務妨害罪の可能性があります。これとは別に、Ⅰ・Ⅱのケースの場合、被害者は加害者に対して民法上の損害賠償(原因と結果との間に因果関係がある場合。)の責任の訴求を求めることとなるでしょう。