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１）相続登記を未了のまま放棄することは許されなくなります。
＜改正の背景＞
相続登記が如実にされないことで、隣地の土地所有者へ連絡等を取ろうとしても連絡が取れないことが多く発生している等が社会問題となっています。
今回の改正によって、自己のために相続開始があることを知った日から３年以内に相続登記をすることが義務化されます。
それに伴い、相続登記の申請手続きが簡略化されます。

２）上記に関連して２０２３年４月１日にスタートとなる「相続土地国庫帰属制度※１」を専門とする相続窓口が同年２月から各法務局に設置される。

※１　「相続土地国庫帰属制度」とは、相続で引き継いだが不要になった土地を国に引き取ってもらう制度である。制度を利用するには、①他人による使用が予定されている土地　②建物のある土地　③土壌汚染されている土地　④境界が明らかでない土地　⑤通常の管理に過分な費用・労力がかかる土地　などは受け付けの対象とはならない。

３）共有不動産の管理等に関する改正
これまでは共有不動産の地目等を変更する場合（例えば農地を宅地等に変更する場合）は、共有者全員の同意が要件となっていました。
また、管理行為（ある一定期間内のアパート等の賃貸）は持分の過半数の共有者の同意が必要とされていましたが、一部の共有者が行方不明であったり管理に無関心であったりすると、共有者の同意が得られず管理等に支障が生じるケースも多くなって来ていました。
そのため、一定の要件の下で行方不明共有者や管理等に無関心な共有者を除外して変更や管理を可能とする制度が創設されました。
実務上でのケースで、共有アパートをリフォームして賃貸しようとした場合等で課題となっていました。

４）「特別受益※２」・「寄与分※３」の主張は相続開始から１０年以内に
これまでは、遺産分割における寄与分や特別受益の主張は、遺産分割成立までは期間の制限なく行うことが出来ました。
今回の改正で相続開始から１０年を経過した後は、原則として特別受益や寄与分の主張が出来なくなり、画一的な法定相続分で遺産分割をすることとなります。

※２　「特別受益」とは、相続人の中に被相続人（亡くなった人）から遺贈や生前贈与によって特別の利益を受けた者がいる場合、その相続人の受けた贈与等の利益のこと。
例えば、
①特定の人のみが住宅取得の際に資金が渡っていた。
②大学の学費の提供があった。
③結婚式の資金の提供等があった。
等のケースが多い。

※３　「寄与分」とは、被相続人の財産の維持や増加に貢献した場合に、他の相続人よりも相続財産を多く分けてもらうことが出来る制度。
例えば、被相続人の家業である賃貸アパート、マンションを、大学卒業後に無給で働いて財産の維持・増加に貢献した人のケース。

Ⅱ【　２０２３年　不動産市場の動向　】

不動産価格の高騰へと昨年に引き続き動いていくのでしょう。
その主なる背景となっているのが「日本の円安」。
一時、昨年１２月に円相場１ドル＝１５１円台後半（今年１月１０日現在、１３０円前後となっている。）まで値下がりし、これを好機と見た海外投資家が東京圏の不動産（マンションや土地）を買い漁って投資資金が流れたことで、首都圏のマンション価格の高騰へ拍車をかけた。さらなる物件価格の上昇へと市場が動いている。
不動産を購入している海外投資家は、マレーシア、香港、台湾、そして米国人らである。
しかし、この海外投資家は、今のところ地方へと波及することは無い様だ。

今年も小生の稚拙な文章ではありますが、思いつき等も含めて情報発信を行って参りますので、お時間の許す時に一読して戴ければ幸甚です。

どうぞ本年も宜しくお願い申し上げます。

再拝