<10月に火災保険料再値上げ>
Ⅰ【 10月に火災保険料再値上げ 】
1.主なる自然災害のみでも下記のとおり年々増加して来ています。
①令和元年10月の台風19号による千曲川浸水被害や
②同3年7月1~3日にかけて静岡県や神奈川県を中心に1時間の雨量800ミ
リを超え、静岡県熱海市で土砂災害が発生し、死者27名(災害関連死含
む)行方不明者1名(7月6日現在)
③同3年8月11日西日本を中心に発生した集中豪雨に伴う被害が、長野県や
広島県で死者3名、長崎県で5名を始め建物の全壊等広域に亘って発生し
た。と災害が記録続きであります。
2.また令和3年8月1日から宅建業者は賃貸借契約、土地建物の売買時前に借主や買主に対し「水害ハザードマップ」の説明が義務化されました。背景となったのが前記の日本各地で大規模な水害や記録的大雨での災害発生の連続であります。
3.従いまして、各保険会社に於いても度重なる自然災害の発生で補償対応が限界に達しつつありました。その都度保険料の改定が続いて来ましたが、今年10月にも値上げが予定されています。さらに留意しなければならないのは最長契約期間がこれまでの10年から5年へと短縮される様です。賃貸人のオーナー様にとっても大きな改正となり保険料の負担も増えることとなります。対策としては、年内に更新を迎える保険があれば、その前に10年長期の契約を維持することの方が得かもしれません。また、水災特約も水害が起こりやすい地域内に存するアパートやマンション等はハザードマップで確認して、事業経営のリスクを回避する機会にしておきたいものです。
Ⅱ【 建築年数が耐用年数に達した建物所有の悩み 】
1.空き家を抱えている方の中には「どの様にすべきか?」が判断出来ずにそのまま放棄されてしまっていることが多いです。①そのまま誰かに貸す。 ②解体して更地で売却。 ③古家付きのまま売却。
2.空き家の活用方法
①そのまま誰かに貸す。(兼民泊含む)
そのまま誰かに貸すこと又は改修して民泊事業を考えるとした場合の課題の基礎として、その建物の所在につき、「都市計画法」や「建築基準法」及び「農地法」等の法規制の事前確認をすることがポイントであります。加えて、行政庁又は市町村の窓口で相談されるなどをして、対応することが重要です。かなり専門的な知識とある一定の資金の準備等も必要となるでしょう。
3.「古民家」の場合はそのまま活用する人も現れる可能性があります。
4.③古家付きのまま売却の場合、建築後15年以内であれば居住用として十分に利用価値がありますので、少々水回り部分を補修して住むなど活用することが出来ます。ただし、全て共通して言えることは、即時に買主や借主が現れることもありませんし、希望額で売れる又は借りるとする保証もありませんのである一定のリスクはあります。最悪の場合かなり低価格での売却や賃貸となる可能性もあることも覚悟をしなければなりません。
5.建築後20年過ぎの普通の木造住宅の場合は、正に悩ましいケースで厳しいですが、住宅診断、※1インスペクション(建物状況)調査診断等をして活用することが可能です。一般的な木造住宅の耐用年数とされている22年過ぎた建物であっても一律住めなくなるというわけではありません。実際に木造住宅は、メンテナンスをしっかりすることで耐用年数を長くすることができます。主要構造材に無垢材(真物)、柱を※2桧木や青森ヒバ、屋久島系スギ、ケヤキあるいは松の赤身材、床材・土台に桧木や栗の木等、適材適所で使い分けられている建物は、シロアリ等の被害を受けにくく、寿命(耐用年数)が長くなる。個別のケースによっては、金融機関からの融資対象の建物として融資を受けられることとなります。この様な悩ましい課題について、宅地建物取引士、建築士らの専門家の意見、診断を経てその上で②の解体して更地での売却も致し方ないと思います。
6.〈 解体しないことがいい事例 〉
①仙台市青葉区台原の某アパートは、築35年経った木造アパート18戸1K9帖の法定耐用年数22年のケースで現在満室にて稼働中です。ほんの少し高台に立地していて、大型病院、スーパー、日照、交通の便も良く、オーナー様が定期的にメンテナンスもしている。
②同太白区西の平の某アパートは築27年、軽量鉄骨のアパート6戸3DK、法定耐用年数27年は不動産鑑定士の査定を経たところプラス18年計45年となりました。芦口小学校、西多賀中学校、大型スーパー徒歩2分でファミリー用、駐車場一世帯2台まで可の賃貸物件の希少価値が高いためか稼働中です。(株式会社 杜リゾート所有)
③本題からズレてしまいますがさらに大切なのが、既存不適格の物件であっても違法建築物ではありません。建築当時は適正な建築でしたが、その後その敷地が道路拡幅へ協力したことなどによって敷地面積が減ってしまい、「建ぺい率」や「容積率」が現行法の基準に照らし、同じ建物11階が9階までしか建築出来なくなってしまった。
従って解体してしまうと2フロアの戸数分が収益減となってしまうこととなるからです。
※1 インスペクションとは、既存住宅を売却、購入する際に建築士の資格を持つ専門の検査員等が建物状況調査を行い、診断書(基礎、柱、梁、床、土台、外壁、屋根、天井及び給排水管、外構の雨水、排水他)作成し、建物の質向上に寄与するものであり、万一の場合は保険に加入することで取引の安全を担保するものです。この他にも不動産鑑定士に同様又は詳細を専門家による鑑定をしてもらうことで長期に亘って利用することが出来ます。
※2 桧木や青森ヒバ等の無垢材には、湿気等の調湿機能があることは良く知られています。その他、木の香りに含まれるフィトンチッドという成分にはリラックス効果、抗菌、消臭、抗酸化など様々な効果があるといわれています。