<改正民法(相続はこう変わる!)>
<改正民法>相続はこう変わる!
前回の7月号のレポートに引き続き、今月号でも相続に係わる改正民法のポイントをレポート致します。
前回は①「配偶者に居住権の創設」、及び住宅、土地は遺産分割の適用除外(結婚20年以上の夫婦のみ)②遺言を法務局で保管(自筆証書遺言の作成を促進も可能)について、レポート致しました。
今回取り上げるのは、
●『故人の預貯金の一部の仮払い制度が可能となる』 この制度は相続人間での遺産分割協議中でも葬儀費用などの引き出しが出来ることとなる。これまでは、相続人が確定するまでは故人の預金口座から引き出しはできなかったが、今回預貯金の一部を金融機関から引き出せる「仮払い制度」が創設された。具体的に仮払いできる金額は預金の3分の1に各自の法定相続人の数を掛けた額となる。使途は、故人の葬儀費用に充てたり、配偶者の生活費にすることも可能となる。
●『遺産請求権は親族以外の人へも』 この制度は、介護などの貢献者へも貢献度に応じて認められることとなった。
遺産相続に於いて、親族以外にも遺産請求権を認められることとなる。例えば、長年介護に努めてきた長男の嫁などは法定相続人ではないため遺産相続人の対象外でしたが、今改正により法定相続人以外の人でも、同人の労苦に報いるために遺産に対して金銭を請求できる権利が創設された。
請求できる人の範囲は、6親等以内の血族と3親等以内の血族の配偶者までとなっており、請求額は介護の貢献度に応じて算定される。
具体的には介護に要した場合の介護日誌や介護用品を購入した際の領収証、通院等のタクシー代、ガソリン代、食事代、おむつ代等の領収証を「証拠」として記録、保管の必要性が明らかになったとも言える。
これまでの多くの場合、この様な「証拠」書類を集めて置くとなると介護・看護する者の心理に於いては、親の面倒を子が当然に看るものと葛藤、あるいは嫁として夫の立場を忖度して自然な形で行って来ていた。または日本人の心を観念思念して来たが、法改正後相続財産の争いを少なくするためには、記録をして置くことが大切になったこと、価値観、時代の変遷への必然性かも知れません。介護、看護をした人には応分の財産分与が公平、公正の観点から見て当然だ!!とする理解が深まったと考えられる。背景には、医療費等の抑制の目的のための自宅介護がある。