賃貸物件、原状回復費用負担区分の基本的な考え方(その1)
<賃貸借契約の原状回復費用負担区分の基本的な考え方>(その1)
建物賃貸借契約が解約により、終了し賃借人が建物を退去する際に、賃料や、共益費など(管理費)の未払い等について賃借人の負担すべき費用があれば、敷金から精算される。
また、敷金から精算される費用の中には退去に伴う「原状回復費用」が含まれると定めていることが多い。この「原状回復費用」が賃借人が納得できるものであればトラブルにはなりませんが、「原状回復費用」の範囲やそのかかる金額を巡って賃貸人と賃借人の考え方が異なることが多くなって来ており、賃貸退去時のトラブルになる。
なでしこジャパン元日本代表の澤 穂希選手の母親(満壽子さん)が東京都内の賃貸アパート(2DK)を借りて22年間居住してきたが、今般2016年1月に退去のうえ明け渡しを行った。その際に賃貸人(大家さん)は賃借人の使用方法がひどく「ゴミ屋敷」とも言われたこと、「部屋の床にガムテープで補修」、「柱はキズだらけ」、「和室の窓枠には目立つシミ」がある。この使用方法について、賃借人は単なる「経年劣化」ではないとして、修繕の見積りをしたところ、100万円~180万円かかると主張している様です。
これに対し、澤さん側の弁護士は「リフォームは先方(大家さん)が負担すべきでこちらが支払う義務はない」としている。一方、敷金11万円納めているがこの敷金の返還を求めていない様です。また、大家さんの言い分として過去に家賃の遅れを何か月も待ってあげたことがあったし、澤さんは本も出版して印税収入もあるから支払える筈だと主張し、大家さんの怒りは収まらない様で訴訟提起も検討しているとの報道。これまでの家賃については澤さん側は家賃の未払いは全くない等と主張し、双方の主張は平行線を辿っている。また、娘さんの穂稀さんはなでしこジャパンの元日本代表ということもあり、週刊誌やネット上でも双方の立場を支援する様々な意見も飛び交っています。
即ち、個別の賃貸借契約の内容と同種の賃貸料に原状回復費用が含まれているのか否かなどを把握しないと判断ができない。
筆者は、この様な賃貸借契約を巡って双方の主張がエスカレートして訴訟等へ発展するとなると大きな釈迦問題としてクローズアップされることを危惧しています。この様な紛争がいずれ私達の業務に大きな影響を及ぼすものこととなるからです。
<次回へつづく>