賃料滞納した場合に賃借人の負担になる旨の約定は有効!?or無効!?
<賃料を滞納した場合、督促に要する費用が賃借人の負担とする約定は有効か、無効か!!?>
1)賃貸借契約書に賃借人は賃貸人に対し毎月の賃料は**日まで支払わなければならない。万一期日までに支払いが無き時は賃借人は賃貸人に於いてかかる督促費用として、滞納賃料督促費用(1回あたり、3,150円)は賃借人の支払いとする、旨の特約の条項の定めがあった。
通常、滞納者の督促などに要する業務や費用は、
1.賃料未払いの有無の調査(銀行へ直近の記帳、毎日記帳)
2.電話による督促、(電話代、時間外)
3.従業員の対応、訪問、行政書士らへの内容証明郵便
4.連帯保証人への対応、訪問
5.他の用務を一旦中止して、督促に集中
などの業務を行っている。
この定めの「特約条項」について、適格消費者団体(内閣総理大臣の認定を受けた消費者団体)が不動産賃貸事業者が定めた特約条項は消費者契約法に抵触して無効であるとして、その定めの使用の差止めと契約書の廃棄を求めて大阪地方裁判所に訴えました。大阪地方裁判所は請求を棄却⇒大阪高等裁判所へ控訴したが、、、
同高等裁判所の判断は、督促業務は本文1~5に記載したとおり、賃貸人に事実確認等の負担が出ることに加え、電話代や郵送料、交通費などのかかるコストにとどまらず、その証憑書類を確保し、回収まで保持するなどのコストも必要になるのであって、これらのコストは膨大なものになる。
従って、本件催告手数料条項は信義則に反し、賃借人に一方的に不利なものではなく、消費者契約法により無効とされるものではないから、契約条項の使用差止め等は認められない。と判示された。
なお、最高裁判所は平成27年3月3日上告不受理決定し、確定した。
(文例不動産トラブル事例 リアルパートナー1、2月号 参考)
当社の賃貸借契約書にも 賃料履行「遅滞、滞納による場合督促費負担がある旨や不退去の場合賃料の2倍の賃料相当損害金を支払う旨の定めがあります。契約に違反した人と、毎月きちんと支払ってくる人もペナルティーが無く同じだとするのは極めて公平の原則に反するものと言わざるを得ない。」
最近は、法律に定めてあるルールを守る人がいろんな理由をつけて、守らない社会へと変わって来てしまっている様な気がしてならない。社会の仕組みは法律を互いが守ることで、健全な社会が成り立つものであって、自己の都合で支障があるからと言って歪曲したり勝手に解決、変更してはならないものと思料しております。
<東西線開通による賃料相場の影響(東北大学周辺を例に)>
2015年12月に地下鉄東西線が開通しました。その影響で東西線沿線の賃貸物件の賃料が上昇しています。例えば、東北大学周辺の「国際センター前」「川内」「青葉山」駅の1KをSUUMOインターネットサイトで、駅から徒歩10分以内・築年数20年以内で検索すると、5万円以下の物件は0件。築後25年以内で2件。さらに徒歩15分以内でようやく8件。それも244件中8件という状況。その他の物件は全て5万円以上の賃料になっています。
地下鉄開業に伴い、賃料を極端に(5,000円~10,000円)上げているオーナー様が相当いらっしゃるようです。しかし、子供に仕送りをし、学費を支払わなければならない親御さんが、5万円・6万円/月の家賃を支払わなければならない。相当の負担がでるのではないでしょうか。その外、東北大学の目の前に地下鉄の駅ができた結果、地下鉄での通学が可能になりました。そのことにより、大学の近くで借りる必要性も無くなってきています。そんなに賃料が高いなら学校の近くで無くても良い。そう考える親御さんが増えてくる可能性が高くなります。
一方、学生用の賃貸物件は3月までに成約しませんと、一年間空いてしまうというリスクもあります。従って、持続可能でかつ市場を高め、適切な賃料設定が大切です。又、八木山周辺はバス路線の多くが動物公園行となり不便を感じて賃貸物件の移動も加わっている様です。
今年は東西線地下鉄開業により賃貸市場の範囲は相当広がる結果、バス路線も含め利便性で二極化となるでしょう。(H・Y)