最新情報
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最近の当社に対する『土地建物』の売買
依頼者は※①『〇〇〇の相続財産管理人弁護士〇〇〇』とするケースが多くなってきました。
一般的には土地や建物の所有者が自ら売買を依頼することや又は一旦相続した不動産をその相続人が遠方のため換価(現金化)する目的がほとんどでした。しかし、今年(H27)春頃からは前述の相続財産管理人として土地建物の売買依頼が2件あり、相談を含めると月に1件程のペースです。
具体的な事案として順に、
①「生来の事由」法定相続人(子供や妻あるいは養子縁組者がいないため。)
②「事後の事由」被相続人(故人)に負債がありその金額は相続財産の額よりも超過しているため法定相続人が相続権を放棄した。
上記の①・②により相続する人がいない場合の売買は通常の売買と大きな点で異なります。
一般的な売買 相続財産管理人
売主本人(利益的売買) 売主に代って処分・精算する行為
土地境界 明示 土地境界 不明示
瑕疵担保責任有 瑕疵担保責任免責
新たな法律行為が時に必要 現状有姿
抵当権設定登記等抹消 過去の借金(債務)等の精算行為有
本人の意思決定で売買 裁判所の許可←売主の効力発生
従って、本来売主が土地境界確定、あるいは瑕疵担保責任を負担することを原則とするも「相続財産管理人」はそもそもかかる費用の捻出が不可能であるためできない。
この様に、通常の売買と大きく異なるため当然に売買価格にも影響を及ぼす。即ち、この様な物件を取得する際はこれらの一連の費用負担を見込んだ金額を売買評価額から控除した価格が実際の売買契約代金となる。ただし、差し引かれるべき額は相当かつ妥当性が担保されることでなければなりません。
『相続財産管理人制度』とは
(1)申立人は利害関係人又は検察官の請求によって家庭裁判所が管理人を選任する。
(2)相続が開始すれば相続財産は相続人に承継されることとなりますが、相続人の有無が不明のときには一方では相続財産を管理、清算しつつ他方では相続人(「但し、法定相続人とは限らない。内縁の妻や婚姻外の子、あるいは特別縁故者」(相続人と同等の医療看護者等))を捜索することとなる。
(3)特別縁故者等から財産分与の申立をする者がいない場合はその財産は清算を経た後に国庫に帰属する。
(4)民法第951条の規定に基づく訳ですが、「相続人のあることが明らかでないとき」との定めは相続開始時において相続人の有無が不明のことをいう。法定相続人や代襲相続人は戸籍の記載によって一応は知り得る訳であるが、戸籍によっても知り得ないときに本条が適用する。従って、相続人の行方不明や生死不明のときは本条ではなく民法第25条以下の「不在者の財産管理失踪宣告」規定による手続となる点に留意しなければなりません。