相続税の改正について
平成25年度税制改正大綱で相続税・贈与税等の改正が発表されました。(今国会で成立すると・・・)
1.「相続税の課税強化」
1)現行の基礎控除額5,000万円+1,000万円×法定相続人の数から、改正後(平成27年1月~)は、3,000万円+600万円×法定相続人の数となります。
例えば、夫が死亡し、妻と子2人が遺産を相続する場合、現行では遺産
の額が8,000万円までは相続税が課されないが、同じケースで、改正後では4,800万円を超えると課税されることとなります。今は、相続税が課される人の数は3%(100人亡くなると3人)ですが、改正後は6%と約2倍近く増加となるだろうといわれています。
これまでの納税者の多くは、「不動産(土地や建物)の所有者」や「事業者」であったが、改正後は普通のサラリーマンの方へと波及すると言われております。
特に、大都市圏に戸建住宅を構えていて、退職金の「預金」や「株」等の現金・預金・有価証券等を所持している人の多くが課税の対象者となり得るのです。
2)これに加えて段階的に税率も一部見直しが行われることとなりました。
2.「相続税、贈与税の優遇規定の拡充」
1)小規模宅地の評価減の拡充
イ.居住している宅地について、配偶者、一定の同居親族等が相続した場合
240㎡まで80%減額 改正後 330㎡まで80%減額
ロ.事業用宅地について一定の事業承継する相続人が取得した場合
400㎡まで80%減額 改正後 最大730㎡まで80%減額(居住用+事業用)
3.「贈与税の減税」
贈与税については、最高税率は相続税と同じ55%となるが、一般贈与については父母、祖父母、から20才以上の子や孫への贈与に限り、税額が軽減されます。
また、相続時清算課税制度についても改正が行われます。
従来は、原則65才以上の父母から20才以上の子へ
改正後は、60才以上の父母、または祖父母から20才以上の子または孫にそれぞれ拡大
また、新たに父母、祖父母から30才までの子、孫に対して教育資金を贈与した場合、最大1,500万円までの贈与税非課税制度も導入されました。
これらの改正により、親の世代からの子の世代への贈与がしやすくなりました。
4.「不動産会社から見える生前の相続対策」「相続財産圧縮」
1)アパートや賃貸マンションの増加が見込まれる。
例えば、現金で1億円を所持している人は、現金・預金から収益物件を取得することで約35%位が資産の圧縮となり、事実上、相続財産の評価減となる可能性があります。
即ち、100,000,000円×35%=65,000,000円
ただし、土地の評価が取得時と相続時で変わらない場合であります。
注:建物についてのみ建築すると評価が35%減となります。
2)古いアパートでも建物を取り壊すまで入居者募集を行っておく。
全体の空室も事業用物件となる可能性があります。
3)親との同居。
特例として 、一定の要件に該当すると80%減額となる可能性がある。
4)生前贈与をこまめに行っておくこと。
生前贈与がポイントです。
5.「不動産会社から見える死後の相続対策」(国家資格者との連携)
1)更地、崖地、狭小道路、不正形土地、調整区域内の宅地等々の場合、不動産鑑定士に土地の評価をしていただき、これに基づき土地評価を確定させる。(税理士任せのみにはしない。)
特に、震災地においては、地盤擁壁が動いているケースが見受けられる。
これらの改修工事にかかる見積取得も必要です。
2)当社のお客様で過去に金3,400万円もの税の還付や仙台市から固定資産税等250万円の還付を受けたことがありました。
6.未成年者控除・障害者控除が拡大されます。
イ.未成年者控除
現行 20才になるまで1年につき6万円 10万円へ
ロ. 障害者控除
現行 85才になるまで1年につき6万円 10万円へ
参考資料 : 『税務相談』 東京シティ税理士 菊地則夫氏
『平成25年度税制改正 相続・相続税法』 著 加藤昌