被災地の復興について
1.復旧の実感が乏しい
あの震災から2年が経ちますが宮城県内のうち、「沿岸部」や内陸部「緑ヶ丘、折立」については、今だに何ら変わらないというのが現状であります。
どちらのケースも集団移転による再建、復旧事業については、移転先の区画整理等の整備が必要です。しかしながら現在は、人手不足も加わっていること、さらに建設資材価格の上昇、供給不足の常態化も加わって動いていないことから見て、向う約10年の歳月がかかることが懸念されます。
このような状況を裏付けるデータが、先日宮城県不動産鑑定士協会から公表されました。今後の事業等の参考になれば良いのではないかと想いましたので以下のとおりご紹介いたします。
1)震災後の宮城県不動産市場動向
・ 震災直後の平成23年6月と平成24年12月の取引の比較
(土地取引件数) (出所 宮城県不動産鑑定士協会) (%)
H.23年6月 H.23年9月 H.24年6月 H.24年12月
仙台市 9.2 5.0 6.7 2.9
沿岸部 43.6 21.8 17.6 -1.4
データ上、震災後は9.2%と相当数の方が購入等に走ったが、昨年は、2.9%と約3分の1に減りました。一見取引件数上落ち着いているように伺えるが、実際は被災者らの希望する土地不足や、経済的な理由で動きたくとも動けない人が多いと見るべきでしょう。・同
(マンション取引件数) (出所 宮城県不動産鑑定士協会) (%)
H.23年6月 H.23年9月 H.24年6月 H.24年12月
仙台市 14.1 -5.9 6.4 5.4
沿岸部 36.1 3.1 -3.1 -17.9
データ上、震災直後に需要が一気に高まり、その後需要に対する物件が不足して取引が下がったことが伺えます。実際の現場からみると、需要はあるが希望する物件が極端に少ないためと思われます。
(中古住宅取引件数) (出所 宮城県不動産鑑定士協会) (%)
H.23年6月 H.23年9月 H.24年6月 H.24年12月
仙台市 21.4 5.4 6.0 2.6
沿岸部 51.5 19.0 -5.4 -1.9
データ上、前記同様の動きですが、中古住宅の指数が他よりも高いのは、被災者が戸建住宅に住んでいた人が需要者という特徴が出ています。また震災前には建築年数が古いため壊体すべきか否か迷っていた戸建住宅も完売しております。ただし、震災に遭ってもちょっと手を加えれば居住できる住宅です。
2)総体的に住宅不足が常態化(2年)して春を迎えたと言えます。
2.(改正)犯罪収益移転防止法(本年4月1日施行)
目的は「マネー・ロンダリング、テロ資金供与防止」です。
例えば、不動産取引を装って※「資金を浄化」する仕組みを入口でストップするためです。
一般的に、不動産取引の際は、本人確認(氏名、生年月日、住所、顔写真)のため「運転免許証」や「パスポート等」で本人か否かを判断してきたが、4月1日以降は、下記のとおり「個人の場合」と「法人の場合」とが確認手続きに加わります。従わない場合や虚偽申告には罰則も課されるという厳しい法律です。
1)「個人の場合」(対面取引)
①取引の目的及び②職業の申告
+
本人確認書類に記載の住所に取引関係文書を書留郵便等により転送不要郵便等として送付
↓
取引時確認完了
(◎200万円以上の取引には、個人は源泉徴収票、確定申告書、預金通帳などが加わる。)
2)「法人の場合」
①取引の目的の申告
②会社の事業内容の確認できる書類の提示
③実質的支配者に関する本人特定事項の申告
+
実際に取引に当たっている担当者の本人確認書類またはその写しの提示
↓
対面取引の場合はここで取引時確認完了
+
本人確認書類に記載の住所に取引関係文書を書留郵便等により転送不要郵便等として送付
↓
非対面取引の場合はここで取引時確認完了
(◎200万円以上の取引には、株主名簿、有価証券報告書、賃貸対照表、損益計算書などが加わる。)