法律・税法の改正について
1、【分譲マンションの管理規約改正へ】
大地震などで被災したマンションの「補修」を「管理組合の役員」で「判断」できるよう「建物区分所有法」の改正が国土交通省で基準を年内にも示す予定とのこと。
現行法での復旧には①建物価格の2分の1以下に相当する部分が滅失した場合( 小規模滅失)自分の占有部分は自由に復旧できる。共用部分に関しては、集会での決議に基づく。や②建物価格2分の1以上を超える部分が滅失した場合(大規模滅失)集会で特別決議があった場合にのみ復旧できる。と定められている。
しかし、今回の東日本大震災で各区分所有者らが各地域へ避難したことで区分所有法が機能しない問題が発生した。
また東京都などの首都直下型地震の発生が懸念されていることで早急の法改正が望まれていた。
これに伴って「管理規約」の改正も行なわれる。
なお改正の範囲は震災など(自然災害)に限定されるのか。すなわち区分所有者間でのトラブルも多い(例えば管理費の滞納者、反社会的勢力の入居、占有者、迷惑行為の差止請求)や役員(区分所有者以外の方も就任)の範囲等も含めての改正なのか今後の法改正の詳細に注目して行きたい。
2、【住友林業、不適合施工か?】
国土交通省は8月10日、住友林業が施工した住宅3,524棟について、国が認定した「準耐火建築物」に不適合だった可能性があると公表した。
具体的には、建築基準法で規定した「ネジ」が短かったり、耐火ボードを固定する建材を使用しなかった様だとのこと。企業のイメージに大きな痛手となったが、今後の事実関係の調査が待たれる。
3、【消費増税と賃貸住宅】
現在参議院での審議中の消費増税関連法案が成立すれば、消費税率は14年4月に8%、15年10月に10%まで引き上げられる。
これにより住宅建築の特需が見込まれることからこれら関連会社の収益と株価が上昇し、日本経済もデフレからの脱却の可能性がある。
戸建住宅などの他にも一時的にせよ賃貸住宅の増加にもなる。
一方住宅関連以外の零細企業はその分を商品価格に上乗せできないと事実上内税となり経営が困難となる。
1997年に消費税が3%から5%に引き上げられたとき、倒産件数が11%の大幅増となった。(東京商工リサーチ)
従って増税後、2016年直後から倒産件数が20%と上昇するものと考えられる。
その理由は、97年当時はバブル景気による蓄えが残っていたが、今回は長期のデフレ下でようやく踏みとどまっている企業がこの状況下での増税となるからである。
よって大家さんの立場に立ってのこの影響は、賃借人の賃料不払い者も増加へと向う可能性が高くなる。これらのリスクを回避するためには、家賃保証会社の保証を受けられる人との賃貸契約がポイントとなるだろう。
4、【相続税改正】
消費税増税に陰れて目下議論が先送りされたものの、国は15年1月1日からの相続税制の改正を計画している。
この改正案では、現行の非課税となっている「基礎控除」の額が大幅に縮小される。
ケース[相続人が配偶者と子2人]
1) (基礎控除) (法定相続人の数×1,000万円)
5,000円 + 3,000万円 = 8,000万円
(基礎控除) (法定相続人の数×600万円)
3,000円 + 1,800万円 = 4,800万円
2)最高税率
50% (3億円超~) 55% (6億円超~)
3)死亡保険金の非課税枠(基礎控除)も縮小
法定相続人の数 × 500万円
法定相続人のうち未成年者、障害者
被相続人と生計を一つにしている者
とする改正案が示されている。
改正された場合、ごく普通のサラリーマン家庭でも課税へとなる。
対策としては、数年に亘る生前贈与(現行制度の2,500万円相続時精算)(年間110万円の非課税枠の活用)などや被相続人の生命保険料契約者を子が保険料を支払う方法等を今から長期的な計画をしておく必要が出て来ている。