持ち家派!と賃貸派!どっち
◎【震災後、賃貸市場へ移行顕著】
◆「震災前は経済的な理由で分かれていた」1)震災前(3月11日以前)は「持家派」と「賃貸派」の分岐点の主たる要素となっていたのは、格差社会の影響が大きかった。2)格差とは、厳密に言えばいかなる時代でも常に存在するものであるが、やはり所得(賃金・「年収」)の差異である。07年6月の当社のレポートにも記していた様に日本全体の労働人口(100%)は4700万人。うち①大企業(4%、188万人)、②中堅、中小企業(57%、2700万人)、③その他公務員・個人事業者、農林漁業者(39%、1812万人)となっていた。賃金①は、1人当り863万円/年。②は、372万円/年。③は不明。3)同時に財務省発表の貯蓄率ゼロ世帯が10年前には8%だったが、07年には22%と増加し、5世帯に1世帯がゼロという結果だった。
◆「震災後は経済的理由の他、価値感の相違が左右することに」
2011年10月の国土交通省の9月時の発表による持家と賃貸の動向《日経新聞調べ》
1)「将来マイホームをと考えている人?」
・高齢になった時に安心できるから44%
・借り続けるより得40%
2)「賃貸の方が良いと考えている人?」
・震災後、経済の先行きが心配だから58%
・不動産価格が今後も下落すると思う39%
(具体的な理由)
・賃貸の方が身軽さもあり住み替えしやすい34%
・頭金を蓄えられそうにない30%
・買うより賃貸の方が得28%
・親と同居している(する予定)27%
・住宅ローンを組むのが不安(震災による二重ローン問題?)25%
3、「ファイナンシャルプランナーなどの専門家はどう考えているか」
これまでにも無数の指数を発表してきているが、資産の前提条件である①地価の動向②ローンの金利、賃貸の費用等で結果が変わってしまう。
要は、賃貸派も持ち家もあらかじめ自己の人生設計と価値感の慎重な判断が大切である。
◆「仙台における不動産会社から見てとれる傾向」
持ち家派、所得の高い人でも「戸建」や「マンション」は今回の地震で被災した為か、しばらく様子見状態の様だ。震災後の仙台市場は『特別な事情』が加わっている関係で、「賃貸派」が主流である。
賃貸マンションは、余震が怖いからと、最上階から3階2階へと住み替える希望者が多い。
供給物件が少ないファミリー用の賃貸マンションの稼働率は90%~100%となっている。また賃料も3000円~5000円と値上がりしている。
従って同じ賃貸マンションでも震災前の賃料設定と震災後の賃料とが大きく異なる結果となっている。
一方、取得価格が低い様な1500万円前後の中古戸建住宅は飛ぶ様に売れた。今は在庫が殆んど無くなった。注文住宅は注文が多く、着工来年5月6月先まで予約で埋まっている。建築単価の値上がりが続いているとの事。
【仙台市内の人口が4万人増加】
本年9月末における仙台市内の人口は103万人から107万人へと大きく増加している様だ。人口増加の原因は、就職先を求めて石巻・気仙沼・南三陸及び福島県相馬地域等被災地からの流入である。更に友人・知人宅や親戚宅に身を寄せている人は、約1万人居るといわれている。これらの人々も雇用の場と住まい確保をしなければならないため、しばらくの間は、ファミリー用の賃貸住宅を中心に引き続き需要が高まっていくものと考えられる。