東日本大震災と賃貸契約について
1、平成23年(2011年)3月11日(金)マグニチュード9.0の東日本太平洋・関東(一部)を震源とする地震により(大津波)に遭われた被災者の皆さんに対し、心よりお見舞い申し上げます。さらに、連鎖的に福島第一原発の事故(放射能汚染水漏出)も加わって、極めて深刻な状態がいつまで続くものか、未だにはっきりしない。
(被災状況)
3月30日(水)午後6時現在の警察庁発表によると?死者11,258人?行方不明者16,344人?避難生活者13万人?建物被害152,695戸となっている。
2、このような未曾有の状況下で、当社に対し、大家さんや賃借人などから以下の通り多くの質問が寄せられております。
(具体例・建物)
(1)賃貸住宅が一棟ごと津波で流された。賃借人死亡・家財道具等の損害や契約はどうなるのか?(石巻)
(2)貸店舗・兼事務所が津波で被害を受けたが建物の柱・床・壁・天井は残った。借主は未だ引き続き借りられるのか?しかし貸主は修繕するのに1億2千万円の費用を要する。(賃料は35万/月)所有者:マスコミ会社(気仙沼)
(3)賃貸住宅数戸が床下・床上まで冠水した。
賃貸住宅敷地に大量の木材・車が残っている。賃料の減額となりませんか?(名取市)
(4)建物のドアが開閉しなくなってしまった。(仙台市内)
(5)被災建物の出入り口に「要注意」(黄色)のステッカーが貼られたが住めるんですか? (仙台市内)
(6)賃貸住宅が水・ガス・電気が止まったので住めないから家賃を支払わなくてもいいのですか?
(7)一戸建ての賃家の「擁壁・土留」に亀裂が入った。「水の流れが悪くなった、配水管が破損したのでは?」(名取市)
(8)トイレのタンクが破損した。又は天井から水漏れがしてきている。(仙台市内)
等々と日を追うごとに多くなってきている。
3、(1)この度の「天災・地変」は、今迄に誰もが経験したことがない程大きい。その為各々の立場で憤懣やりかたなしの状態であり、賃借人の一部は不動産管理会社に対しても苛立ちの矢面に立って色々注文を付けて来ています。
(2)これらの紛争を防止するための基準は、第一次的に賃貸借契約を結んだ時の「契約書条項」に基づくことであります。
「例」
第○○条(契約の当然の終了)
1.天災・地変・火災、その他賃借人の責に帰することのできない事由により、賃借人(転借人含む)が賃貸物件を使用できなくなった時は、本契約は当然に終了し、かつこれによって賃借人の被った損害については、賃借人は何等の名目を問わず、金員その他の請求はできない。
2.また、「前項に」起因した毀損・汚損であっても「賃貸物件」の全部または一部が消失あるいは毀損し、通常の用途に使用ができなくなったり、制約された場合かつ、修繕に多額の費用が生じる場合にも前項を準用する。
3.賃貸契約成立時から賃貸物件の引渡し日迄の間に前項の事由により、賃貸人が賃借人へ対し、賃貸物件を引き渡すことができなくなった場合は、本契約は当然に終了し、賃貸人は既に預かった敷金を賃借人に返還する。
と記載してあるのが一般的です。
この様に法律上は明確な定めがありますが、これは誰が見ても明らかな場合(賃貸物件が津波で失われた)は、争い等に発展しないが、個別のケースについては、判断が難しい場合(鉄骨造のビル等がガラス破損程度、床上に浸水の修繕すれば使用可)等のケースが考えられます。よって専門家の判断を得るなどして、当事者間での話し合いでの解決をしていかなければなりません。
4、(利益優先業者の出現)
(1)仙台市中心街の一部の不動産業者は、居住用の賃貸住宅について、被災者の弱みに付け込んで利益を挙げているとの情報が流れてきている。
(2)具体的には、賃借人から仲介手数料1ヶ月分、礼金1ヶ月分等である(※1)。地震前までには賃借人0円賃貸人1ヶ月分+礼金+広告料=○○万円、あるいは、賃貸料金を値上げするなどの様である。(他の仲介業者の話しで未確認情報)
(※1)礼金について、仙台圏では慣習が無いが主に首都圏から仙台に店舗を構えた支店やフランチャイズ店が受領している。この礼金は本来、賃貸人(大家さん)へ対するものであるが、現実には業者の手許に残したり、営業社員の歩合給の目的で利用されている。
(3)このことがもしも本当だとするならば、極めて遺憾な事であり、許しがたいといわなければならない。
(4)一方、私達の任意グループの「住み太e~ねっと」会員27社は、被災者に対し「住宅の確保」「仲介手数料無し」「がんばろう!!宮城」「がんばろう!!東北」で社会貢献をしようと取り組んでいる。
4.当社社員全員無事。また当社ビルは、柱やハリがしっかりしていたものの、壁にヒビ割れ等の損害がありました。今回のレポートが今度の地震により運送会社の業務一時停止等の事情で大変遅れました。申し訳ございませんが引き続き情報発信を続けて行きたいと思います。
最後に、被災された多くの皆様の、一日も早い復旧を心からご祈念申し上げます。