欠陥住宅の損害賠償請求と居住期間の相殺主張が否定された!!
1.欠陥住宅を購入していた人が、住宅を販売した建売り住宅会社(不動産会社)を相手どり損害賠償金3.900万円の支払いを求めて訴訟を提起した。
2.第一審の名古屋地方裁判所は住宅を買った原告に対し、その建物に居住していた5年間につき、近隣の住宅賃料(家賃)相当額を居住して利益を得たとみなして損害賠償請求金3.900万円から賃料相当額800万円を控除し、3.100万円を損害金と認めて、その支払を被告に命じた。
3.第二審の名古屋高等裁判所は、「危険な住宅に已むなく居住していた」として減額を認定せず賠償金3.900万円の支払いを認定した。
4.被告住宅分譲会社(不動産会社)はこれを不服として最高裁判所へ上告をした。
5.最高裁第一小法廷(宮川光治裁判長)は、「新築住宅に重大な欠陥があり倒壊の危険などで建物自体に価値が無い場合、住んでいたからと言って損害賠償額を減額することは許されない」と判断し、二審判決を支持し、被告業者らの上告を棄却した。(平成22年6月18日 最高裁判所第一小法廷判決)
事案について具体的で詳細な部分までは未だ分かりませんが、これまでの判例の多くはこの様に居住して来た期間相当日数を利益と見て、その利益(家賃相場の賃料)を損害金から控除して損害を認定して来た。
今回は居住してきた一定期間の家賃を損害賠償額から減らせるかが争われた。しかし訴訟の上告審で最高裁は損害賠償額を減らすことは出来ないと初めて判断が示されたことの意味は大きい。
ここ数年の最高裁判所の姿勢は、国、行政や企業側から国民(消費者)側に大きく軸足を移して来ている。
具体的には、
1)利息制限を超えて支払った利息(過払い分)について年5%の利息を付して返還せよ!!といわゆる過払金返還金訴訟で消費者(借手)の前面勝訴となった。(2007年7月13日 同裁判所第二小法廷)
2)相続における死亡した人の相続人がもらう生命保険は遺産とみなされて相続税の課税対象となり、さらに年金の形で分割で受け取ると毎年受領した年に雑所得扱いで、改めて課税されてしまういわゆる二重課税訴訟において最高裁判所は、判決で「恣意的に税収をあげることに納税者を納得させられないとして国が敗訴した。(2010年7月6日)