相続対策について、考え方を述べてみたいと思います。
私自身は、永年某法律事務所の事務員として、相続対策について様々な成功・失敗事例について見たり聴いたりして来たことに加えて、現在の不動産会社を経営する中でのご相談案件を受けることで実践してきました。本業の宅地建物の売買・仲介、不動産コンサルティング等を通じて、より現場を良く知る機会に恵まれています。
この経験の中から、以下のとおり考え方を述べてみたいと思います。
個人の相続対策を考える場合、なぜ必要か、誰がどの様に行うのか等々、考えるだけでも頭が痛いのが現実です。
対策には、大きく分けて「生前の相続対策」と「相続開始後の対策」の二つがあります。
なぜ相続対策をしなければならないのだろうか。それは、日本人(個人)の相続時に於ける相続財産額の構成比で一番高いのが不動産(土地・建物)で75.9%(H14年)を占めていて、他国の不動産比率20%~30%から見ても異常に高い。
また、相続とは別に毎年負担する税で、土地に対する固定資産課税標準価格が地下公示価格の60%~70%に改正された結果(仙台市は70%)、固定資産税の増額になったこと、加えて預貯金ゼロ金利などがその要因です。
その結果、アパート・マンション・オフィス等の建物が多く建つこととなった。ただ、これに関しては、そのものの事業性がしっかりしていなければ破綻を招くこととなるので、事業に着手する計画の段階から、建築会社の他にも税理士、不動産業者との連携が大切です。
しかし、生前に相続対策をしなかった場合でも、相続開始後における「相続税納付の還付」の方法で可能な場合があります。
私も、ここ3年以内でも3件の相続税の還付過納金手続をして来ております。
要は、相続時の土地の「時価」が、相続財産評価の最大76%~最小でも60%を占めるため、特に留意すべきであります。
その「土地評価」を「再度適正な評価」を行うことで、結果として「土地評価が下がる」こととなり、払い過ぎた相続税を還付してもらうことです。
これには、弁護士・不動産鑑定士・税理士・不動産業者との連携が最も重要です。もって、正しい納税が担保され、法の定めに基づく納税者申告制度に合致することになるものと信ずるからです。