世界の相場に回復の動き。我が国における住宅需要の理想と現実。
実務から見る現実と理想
5月連休明けの日本の日経平均株価株式市場は、9,300円代と今年3月につけたバブル崩壊の最安値から3割以上上昇した。世界の相場が回復して来ている。
これは、日本の投資家が萎縮していた2月3月の時期で、東京市場では「5月危機説」が取りざたされたが、市場は今回の決算発表が予想されていた範囲内と感じたからであろう。株価の動きが良くなると、銀行が保有する有価証券の含み益が増加となり、自己資本率が上昇する。
日本の経済の底が見えると、以下の統計のとおり住宅環境も良い方向へと動き出す。「日本人の個人の住宅に関する志向は依然として根強い」
少し前の調査資料(総務省平成15年と国土交通省平成18年)で、国民の住宅と土地問題に関する意識調査をしたところ、次の様な結果が表れている。
個人は、住宅の「所有」や「賃貸住宅」に対し、どの様な意識を持ち、どの様な選択を行っているのかが、上記「図表1-1」と「同1-2」の比較検討で、その動向が伺い知れる。
平成15年調査時の「図1-1」では、現実の持家比率は61%、同現実の借家比率は37%となっているが、
平成18年調査時の「図1-2」では、持家志向と考えている人は85%、同借家志向と考えている人は9%と、現実と将来への希望とは、この様に持家志向が高いとの結果が出ている。
また、持家志向をする人でも、中古住宅よりも新築住宅と考えている人が多いというのが、我国の住宅需要の特徴と言われています。
しかし、前記調査後の現状を含めると、図表1-2の理想とは大きく異なり、価格の安い中古住宅(マンション)、700万円以下の物件や同(木造住宅)1,700万円以下の物件が成約の主流を成している。新しい住宅事情との見方と思える。
即ち、中古のマンションや同住宅の安いのが流通しているのは、新築住宅等を購入したいとの理想とする意識と現実における違いの結果でもあります。
さらに、加えて考えられる要因としては、?所得の格差層の拡大。?新築住宅について一般消費者の購買力が供給される販売価格の上昇に追いついていけなかった。?平成17年当たりからのサブプライムローン問題、加えて昨年9月15日に問題化したリーマンブラザーズの影響等で、金融機関の融資審査が厳しい状況が続いていたことも見逃すことが出来ません。
従って、これからの不動産の住環境は、前記した「株価の3割上昇」、補正予算14兆円の成立や外国(特に中東)からの日本への投資によって、金融システムの回復が起動すると考えられる。
特に住宅は、前述の根強い持家志向とがあいまって動き始めてきたと見るべきであろう。