土地売買とその土地上の借地人の移転業務について
甲所有者よりX不動産の売買依頼がありました。
X不動産の土地上には、「甲所有の建物」と「乙所有の建物(1階/理容店、2階/住まい)」の2棟がありました。
X不動産を売却した代金より乙への※借地法(旧法、S46、法律第42号)による借地権の解約は、甲と乙との間で双方の弁護士さんが入って某地方裁判所で和解が成立していました。
(和解条項として、甲は乙に対し、建物収去、土地明渡しと同時に金4,000万円を支払う。建物解体費用は甲に於いて甲の建物と一緒に解体することとなっていて、乙の負担はありません。)
その和解は1年前に成立していて、現実の明渡し期日が令和4年3月31日までと目前に迫っていました。
1)乙は本件土地の近くで引き続き理容店と住まいも一緒の建物で、事業も空
白のない様に継続を強く希望しておりました。
2)X不動産には購入予定者が既に付いていたが、乙の明渡しを待っていただ
いておりました。
3)従って、乙に於いてはこれまでに自分で物件を探しては来ていたが、なか
なか希望するものが見つかっていないまま、上記期日までに甲に建物を引
渡さなければならないと違約金の支払いが生じることとなって慌てて相談
を受けました。
4)その際に、甲及び乙との双方が成り立つ様に対応した資料です。
個別で限定的な事例ですが、浅学非才の立場で対応している考え方の一つ
で権利関係の調整と蘇生型の案を提供した。
甲・乙 様
第一.仙台市青葉区(建ぺい率60%・容積率200%)周辺に土地20坪(66㎡)を取得し
1階を店舗、2階を住居とする建築の費用計算は以下のとおりとなります。
1、〈土地取得費(更地)〉
1)土地取得(生活道路に面する)費用は、
368,000円/㎡ × 66㎡ = 24,288,000円 ……A
2)生活道路より一歩中に入った店舗住宅地は、
202,326円/㎡ × 66㎡ = 13,353,516円 ……B
2、〈建物建築費〉
建物(理容店舗※1(設備費用を除く)兼住居)の建築費用
(建築面積)
1階 39.6㎡※2(12坪) + 2階 39.6㎡(12坪) = 79.2㎡
(建築面積) (建築単価※3)
79.2㎡ × 168,500円/㎡ = 13,345,200円 ……C
3、〈理容店開業設備費〉(後記「6,460,000円」…Fのとおり。)
ケース1.
A+C+F= 44,093,200円 合計≒ 44,100,000円
ケース2.
B+C+F= 33,158,716円 合計≒ 33,160,000円
となる。
〈古家付土地を取得(解体対象)〉
第二.1、古家付土地を取得して古家(66㎡)の建物を解体のうえ再築の場合、
(庭石、塀、カーポート等を除く。)
〈解体処分費用は売り主の負担とし、土地売買代金より控除〉
(66㎡) (解体費用) (建築費)
1)A -(20坪 × 100,000円)+ C = 35,633,200円
≒ 35,630,000円…D
2、建物建築費(第一 2、「13,345,200円」…C)……E
3、〈理容店開業の設備〉
賃貸契約で既存住宅等の改修工事施工※4(1坪単価27万円~40万円位)
(物件によって費用が大きく変わりますが参考まで。)
一般的な見積は以下のとおりとなる。
(スケルトンの場合)(空調工事、備品(椅子、シャンプー台、ミラー等除く))
改修費用 646万円
<内訳>
仮設工事 13万円 軽鉄・ボード工事 90万円
内装・床上げ 233万円 家具工事 20万円
建具工事 56万円 設備 75万円
電気工事 40万円 諸経費 60万円
総額 587万円(消費税別)≒ 6,460,000円(税込)……F
4、 D+F= 42,090,000円 ≒ 42,090,000円……X
(66㎡) (解体費用) (建築費)
2)B-(20坪 × 100,000円)+ C =24,698,716円
≒24,700,000円…G
1.前記2、建物建築費(第一2、「13,345,200円」…C
2.前記3、(理容店開業の設備)以下省略「6,460,000円(税込)」…F
3.G + F = 31,160,000円……Y
∴ X 又は Y のいずれかとなる。
第三.1、賃貸借契約賃借人(店舗(20坪)のみで設備無し、スケルトン)(普通賃貸借契約)
(賃料※510,000円+消費税1,000円) (賃料税込)
賃 料 20坪 × 11,000円/3.3㎡当たり = 220,000円……H
敷 金 賃料 × 6ヶ月分 = 1,200,000円……I
仲介手数料 賃料1か月分200,000円 + 消費税 = 220,000円……J
賃貸保証委託契約書兼保証契約書(X賃貸保証)
賃料1ヶ月分 × 保証料60%※6 = 132,000円……K
計 F+H+I+J+K=8,232,000円
小計 8,232,000円……L
2、継続でない場合の宣伝広告費用※7(第一・第二に共通の出捐)
小計 1,320,000円……M
3、居住用賃貸借契約賃借人(居住用)(普通賃貸借)
2LDKの場合
(築15年~30年) (築浅物件)
< 木 造 68,000円 ~ 80,000円 >
(1)賃 料 68,000円 80,000円
(2)敷金2ヶ月 136,000円 160,000円
(3)仲介手数料 74,800円 88,000円
(4)保証会社への 27,200円 32,000円
保証料40%
(5)引越し料 250,000円 250,000円
(1)~(5) 小計 556,000円 ~ 610,000円…N
L+M+N= 合計 10,108,000円 ~ 10,162,000円
となる。
の床面積であること。
椅子の数が2脚を超える場合は、13.2㎡に1脚ごとに3.3㎡を増した床面積で
あること。即ち椅子の数が3個との希望があるので16.5㎡の床面積を要し、
さらに天井(ちりが落ちない構造とすること。)消毒所、器具類の収納、洗髪のた
めの洗い場の作業スペースが必要となる。 宮城県保健所(支所)
(2)居住スペースは店舗とともに総二階となると建築費を抑えられる。
省)の平成30年の木造、木骨モルタル「168.5=168,500円」を引用した。
(現実には令和3年の建築(ウッドショック)などの要因で費単価の上昇を考慮する
必要があるが、その金額は未定。)
①設計デザインか施工かのどちらかのみを請け負う業者
②設計デザインから施工まで全て一貫して請け負う業者
の2種類があり、①は工期に時間がかかる難点があり、②は一連の流れが確保されてい
るので工期が早い利点が有る。一般的には交渉にもよりますがデザイン料も込みで施工
する方法がかかる費用を抑えられる。
がら、同種で類似、地域、建物の構造及び経過年数によっても大きく異なっていること
又、地域限定となった場合は更にその時の供給の有無や賃貸人の掘り起こしのため期間
を要するなど不確定な要素が高くなるのが経験則上一般的です。
又、某町は未だ木造店舗が多く、古い街並みが残っている。従って木造店舗のケースを
採用し、検討した。
商品の一つで店舗用の「賃貸保証委託契約書兼保証契約書」に基づく。
(但し、債務不履行等で信用情報に登録されている場合は保証が得られない。)
費(別途約6ヶ月分=1,320,000円……M)相当の賃料の費用補填が必要となり
ます。さらに個々の顧客へのDM(案内の広告、チラシ、電話、電子メール等)、開店
祝の商品等々の費用がかかることとなりますが、本書では「継続経営でない場合」の賃
貸で生じる家賃についてのみ計算に加えた。第一~三までの共通項目だが便宜上第三に
のみ加えて計算した。即ち※7の要件に該当する場合は第一、第二の合計額に加算する
必要がある。
添 付 書 類
1.売買物件概要(成約事例)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(省 略)
2.(参考2)建物の標準的な建築価格表(単位:千円/㎡)・・・・・・(省 略)
■本書は「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づく不動産鑑定評価書に代わるものではなく、不動産取引上の査定です。
以上