⇒破産法の目的など
1)破産法上第2条に基づく手続きは二つ有り、事業経営等でつくった借金が
返済できない時等に、①自己破産(債務者自ら申し立てる)が全体の9割
であるが後は②債権者(第三者)の申し立てによる破産である。
①の様な債務者が自ら破産申立をする場合、破産の状況を申立裁判所に対
し「債務者の資産等の目録」、「負債状況」を正確に「疎明」することが
できるが、
2)②の場合は、相手方(債務者)の財務書証等が破産法で言うところの要件
を具備することが出来るのかが疑わしく、その申し立ての多くは裁判所で
却下されているケースが多い。(馴染みが薄いのは事の性質上極秘扱いさ
れ、報道されることが無いためです。)
この様に何らかの理由に基づいて「濫用的破産申し立て」の可能性も含ま
れている。
3)さらには、コロナ禍の中近時のSNS等の情報社会の中に於いて悪意を持
って○○の店、○○の会社がコロナ禍で危ない様だなどと流されただけで
「破産」のレッテルを貼られてしまう恐れが危惧される。
「破産」かどうかの判断は裁判所のみが持っていることに留意しなければ
ならない。
当然虚偽の風説を流布、または偽計を用いて人の信用を毀損し、またはそ
の業務を妨害した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処され
ることとなります(刑法第233条)が、しかし破産のレッテルを貼られ
てしまうとその会社の信用回復には相当の時間と費用がかかってしまうこ
ととなる。
刑事事件のみならず民事事件での損害賠償請求事件へと発展し、結果次第
では生涯かけてかかる損害を背負うこととなるので特段の注意を要する。
4)ところで破産には、大企業から中小企業あるいは個人まで極めてその範囲
が広く、私どもの様な零細企業の不動産会社で取り扱う破産手続きによる
不動産の換価物件は「2000年代のバブル崩壊時の整理回収機構(RCC)
が債権者として大口の債務者 徳陽シティ銀行他」を除くと、今は一般の
不動産価格とほぼ同じ位の額が多い。
また不動産会社の経営者や営業マンの方々が「破産法の手続き」を知った
うえで取扱わないと思わぬトラブルに発展してしまっては元も子もない。
されど不動産に関する業務なので基本的な破産手続きの趣旨や破産の特殊
性を知ることで適正な不動産売買等に寄与するものと思料する。
5)破産事件の不動産売買の基本的な実務は以下のとおりである。
(抵当権付不動産を破産手続※2による任意売却の場合)
仙台市太白区長町一丁目1番10号
株式会社 杜リゾート
この度は、破産不動産にお申し込みいただき、誠に有難うございます。
本不動産は「破産法による任意売却」の為、売却の手続きの流れは「別紙」のとおりとなりますので参考にして下さい。特に一般の「売買契約」とは大きく異なります。その特徴としての特約には常に ①売主の契約不適合責任の免責 ②裁判所からの売却許可 ③担保権者からの同意を得られること等の他、売買の手続き等に多少の時間がかかります。また買主様より売り出し価格を下回る価格提示があった場合、裁判所の許可が得られない場合があります。売り出し価格が担保権を有する債権者へ全額弁済の場合は問題がありませんが、そうでなかった場合(オーバーローン等)は債権者との調整(一部弁済のうえ抵当権等の担保を抹消の承認・同意)が必要となります。つきましては本書面の内容及び後記略図を良くご理解いただき、意思決定をされます様、ご留意下さい。
なお、前述は破産法に基づく任意売却の説明であります。
これとは別に、「別除権者」※3(抵当権者)は固有の権利である抵当権設定契約に基づく競売を申し立てる権利があります。競売が申し立てられると登記事項証明書の甲区欄に「差押え」「競売申し立て」の登記がされます。
従って、「破産法による任意売却」と「別除権に基づく競売」が稀に並行して進行する場合があります。この場合当職に対し、破産管財人からその旨の連絡がありますが、買主予定者において、金融機関から融資の得られることが購入条件となっている場合、この様な「差押え」登記により融資ができないとする金融機関の担当者の判断もされます。状況に応じて弊社は、仲介業務について責任を負えないと判断した場合途中で売買仲介業務を終了することもありますので、予めご了承願います。
このことで買主予定者に於いて費用が発生したとしても、各々の立場は法律に基づく権利行使であり、仲介業者の責任ではないので予めご了承ください。
最後に破産不動産の買主様のメリットとしては、一般的な価格よりも安価となる様です。また時間を要することとなりますが、買主様に於いて裁判所の売却手続きなので権利関係は抵当権等第三者の権利は裁判所が職権で抹消しますので安心して買うことが出来ます。
以 上
※1 破産法(平成16年6月2日法第75号)
目的 支払不能又は債務超過にある債務者の財産等を債権者らと債務者
との間の権利関係を調整し、債務者の財産を適正かつ、公平な清
算をし、債務者の経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的
とする。
(法律文の趣旨を筆者が簡略化したもので原文とは違いがある。)
※2 破産手続とは、債務者の財産、相続財産、信託財産を清算する手続き
をいう。
※3 別除権者とは、「先取特権」、「質権」、「抵当権」を有する者で同
法65条に基づき、破産手続きによらないでその権利を行使すること
ができる。